憧れの富士屋に泊まろう
葬儀ビジネスは将来的に5兆円規模の一大産業になるとも一般の斎場と違い、ホテルではご遺体を持ち込むことはお断わりし、遺影を置いた祭壇を会場に設けて献花するといったスタイルが多い。
平日にも行なわれ、また特に日柄も考えない法宴は、ホテルにとって、宴会場の通年稼働を期待できる新規マーケットといえる。
すでに、かなりの受注実績をあげているホテルもあり、たとえばホテルO東京では2005年度に26件を受注し、2006年度の上期にはすでに15件を受注している。
″法宴″という業態の開発およびその名付けは、ホテルO東京の故H顧問(元同ホテル副社長)がなされたものである。
H氏は2006年8月2日に逝去され、縁のある同ホテルで法宴がしめやかに営まれた。
では、H氏が法宴を開発したのはなぜなのだろうか?暑さ厳しい夏と寒さ厳しい冬に亡くなる方が多い。
過酷な季節に高齢者や病人が耐えられないということもあるのだろう。
この盛夏と真冬の期間は企業の宴会や個人の結婚式も少ないので、ホテルの宴会場はガラ空きのことが多い。
亡くなられた方々を供養したいというニーズに応えることが、この期間のホテルの活性化につながる。
神社やお寺、専門葬儀場は暖房効果がいまひとつなところが多いうえ、焼香のさいには屋外に長い行列をさせられることもまれではない。
現に、冬場の葬儀に参列した老人がその場で風邪をこじらせたり、肺炎になったという話はよく聞くところである。
その点、ホテルは待合室と献花をする会場をそれぞれ宴会場などに設営できるので快適である。
各ホテルでは、少子化で婚礼収入が減少する一方で、高齢化社会が進んで亡くなる方の数が増えることから、法宴の積極的な受注に取り組んでいる。
しかし、既存のシティホテルでの法宴には問題点もある。
それは、華やかな祝いの宴席が入っている日に、喪服を着た人々が大勢でロビーなどをうろうろされるのは、やはりちょっとまずいのではないか、という点。
さらには、現在の宴会場の名称が鶴や亀などの″おめでた系″であり、また装飾が華やかなインテリアを使ったものがほとんどであることも、法宴で使用するさいには懸念材料となる。
今後、この葬儀マーケットにホテルが本格的に乗り出していくのであれば、このあたりのことを含めて十分な配慮と対策が必要だろう。
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